陸上自衛隊中部方面音楽隊スペシャルコンサート in フェスティバルホール(大阪)にて、新編曲の歌劇《ナブッコ》序曲(G.ヴェルディ)を演奏していただきました。指揮は柴田昌宜2等陸佐。
すみずみにまで神経の行き届いた、それでいて熱量のある、本当に素晴らしい編曲初演となりました!
この演奏会は、鈴木英史先生の新作《払暁雄誥》の初演、三浦秀秋さんによる音楽史をギュッと20分に凝縮した新編曲《ミュージック・タイム・トラベラー》など実に盛りだくさん。拙編《アヴェ・マリア》(カッチーニ)も再演していただきました。演奏も充実していて、聴衆も大満足だったと思います!
編曲に関しても少々……。
今回の《ナブッコ》序曲は原調でのトランスクリプション。A-dur→F-dur→D-dur という、吹奏楽には不向きな調なのですが、並クラの皆さんにA管をご用意いただけるとのことで、柴田隊長とも相談の上で実音に。その分、E♭ Cl.やサックスの皆さんは大変だったと思いますが……。B♭クラと比べると当然音色はややダークではあるのですが、それも想定しながらスコアリングした甲斐もあってか、そして何よりも奏者の皆さんのお陰で、クラ・セクションの音としての響きはしっかりと得られていたように思います。A管のクラ、プロの場合に十分に使えるオプションだなと感じました。
(とはいえ、私は作品によっては必ずしも原調のアレンジである必要はないとも思っています。特に、オペラ序曲などの場合は、必ずしも調性のキャラクターや楽器の音色特性などで調選択がされているわけではないので「吹奏楽で演奏しやすい調」にトランスしたほうが、むしろ本質的だとも考えられ得ます)
近年、吹奏楽の優れたオリジナル作品が多く演奏されているのは素晴らしいことです。その一方で、管弦楽曲のトランスクリプションも、吹奏楽の歴史上も文化的にも重要かつ不可欠な一側面です。今後も、オリジナル作品とのバランスと取りつつも、編曲作品ならではの価値を考えていきたいなと改めて感じました。
そして、今回のように、21世紀に相応しい形で、良い意味で“通俗的な”名曲を吹奏楽で演奏し、鑑賞してもらう機会の創出に携われるのは本当に嬉しいことです。
改めて、今回、陸上自衛隊中部方面音楽隊の皆さまと柴田隊長とには、大変貴重な機会をいただきました。本当にありがとうございました!