陸上自衛隊中央音楽隊第166回定期演奏会@東京芸術劇場でした。
演奏会の第2部で演奏されたヴォーン=ウイリアムズ交響曲第3番《田園交響曲》をこの演奏会のために編曲する機会に恵まれました。
原曲は「果たして吹奏楽で成立するのか!?」というような(事前にそのような声もありました)内容で、実際のことろ、編曲自体もこれまで経験したなかで最高難度でした。中音の皆さんのスーパープレーのお陰で、リハーサルを聴いて随分と安心しました。
本番は、東京芸術劇場の響きも加わって、RVWの世界が美しく響きました。常に極限の繊細なコントロールが求められる35分間でしたが、中音の皆さんの技術やアンサンブル力の高さ、本当に素晴らしかったです。樋口隊長のテンポ運びも、吹奏楽での流れにフィットする素晴らしいものだったと思います。
編曲に関しても、終演後に、客席の方々や隊員さんからポジティブなお言葉をいただき、大変ありがたかったです。
今年は、作曲者の生誕150年に加えて、曲中の自然倍音列の軍隊ラッパ的なフレーズの使用、終楽章のソプラノ独唱、さらに第1次大戦への挽歌という曲のテーマがロシア・ウクライナ戦争にも重なるという面もあり(実は原曲譜の到着遅れという形で戦争の影響も受けました)、今、中央音楽隊がこの曲を演奏する意味や意義も大きかったと思います。
音楽的にも、21世紀のミリタリー・バンドが演奏する管弦楽のトランスクリプションという点で、表現の可能性の幅をひとつ押し広げる機会になったのではとも思っています。
今回の編曲では、リハやそれ以前の段階で、楽譜のミスがちょことちょとこと出てしまいました。楽譜提出後、樋口隊長が丁寧に確認してくたさったほか、隊員さんも嫌な顔せずに対応してくださったり、ぶつかりをご指摘いただいたりと、ご協力に心から感謝しています!
今回の曲は、音符の絶対量が多く、オーケストレーションも大変複雑なので(ゆえに、Finaleのプレイバックもほとんど役に立たない)これまでの経験からもある程度の写譜ミスは出ちゃうだろうなと思っていました。そこで、楽譜の事前校正を人に頼んでやってもらったのですが、スピーディーかつ正確な、素晴らしい仕事をしてくれました。リハーサルがほぼ順調に進んだのも、彼女の功績によるところが極めて大きいです。皆さまに、改めて心からの感謝の意を表したいです。
私自身、譜面書きとして「交響曲(全曲)」というものには、縁はないだろうと思っていたのですが、今回、セントラル・バンドの定期というこれ以上ないほどの舞台での機会をいただきました。さらに、今回は、英国R.ヴォーン=ウイリアムズ協会認定の吹奏楽での世界初演奏とのことで、大変光栄なことです。
素晴らしい機会をいただけたこと、本当に感謝しています。ありがとうございました!
また、演奏会全体の印象については、また別の機会にまとめたいと思います!