2年振りの吹奏楽コンクール終了

日記

 さて、もう先週のことですが、私が携わったバンドの今年の吹奏楽コンクールが終了しました。

 「その先」を目指して取り組んでいたバンドもあったので、その点では、残念な結果に終わってしまった団体もあります。もちろん、良い結果が得られたバンドもありました。いずれにせよ、この社会情勢下でホールで演奏できたことがまずは何よりでした。


 昨年の空白の影響は、特に中学校で露骨でした。端的にいうと、同じ内容の合奏を進めるにも、例年よりも実感ベースで数倍の時間が掛かりました。それが突然「ここの4分音符は、音価を短めにして、音の処理は……」などと言われても、実際のところ「??」だったでしょう。これまで目玉焼きしか作ってこなかった人が突然に凝った料理を作ろうとしているものです。3年生ですらほぼ初体験という状況で、生徒たちも本当に大変だったと思います。

 その点では、「前に立っている指導者の言葉よりも、隣にいる先輩の振る舞いや演奏そのもののほうが、何倍も雄弁に物を語る」のだという、学校部活動のある種の本質をまざまざと見せつけられた感もありました。

 それでもまだ、3年生には1年生のときの記憶があります。もし今年も中止になっていたら、これまで数十年の各校吹奏楽部の蓄積が大きく失われていたことでしょう。
 私自身も、ちょっとしたことをうっかり忘れてしまっていたことも多く、1年間の空白の大きさを実感させられました。


 個人的には、昨年以来、自分が楽器を吹く時間を増やした成果が大いに活きたと思います。

 上述の通り、様々な音楽的イメージがなかなか伝わらない難しさがあったのですが、そんなときには楽器を吹くのが実に手っ取り早かったです。百聞は一見に如かず。
 尤も、トランペットの高音域は出ないし、クラリネットは指は回らないしで、技術的には全然上手ではないのですが、「目の前の生徒たちに伝わることが大事!」と思い、必要だと思ったときには演奏しました。特に、フレージング、アンサンブルの方法、音色感などは、効果的に伝えられたと思います。

 社会状況的に、マウスピースだけ持っていって「ちょっと楽器貸して」なんてことは到底できないので、特に中学校に行くときは毎回クラリネット、トランペット、鍵盤ハーモニカの3つを持参しました。いきおい車移動が多かったですが、電車でも3つ持ち歩きました! これは来年も続くでしょうね。

※念のための補足
もちろん、楽器の奏法面は、各楽器の専門家に教わったほうが良いのは当然のことです。「楽器の技術」を教えることが主たる目的ではないことは、どうぞご理解ください。生徒たちにも、私は「演奏者としてはアマチュアであること」は繰り返し伝えていました。


 今年は、様々な事情が重なった結果として、埼玉県外の高校バンドの指揮者として出演もしました。
 高校生のエネルギーを受けとめながら練習を重ね、ステージで披露できたことは、私自身にとっても大きな喜びでした。そのプロセスにおいて学びも多かったです。サポートメンバーを含め、ともに活動した部員たちに心から感謝しています!

これまでの経験からも、外部指導者としてコンクールに出演する難しさやその責任を感じて臨んだ今年でもありました。以前に振っていた高校バンドを退いたときには、コンクールでスクールバンドを指揮する機会がこんなにも早く再び巡ってくるとは思いませんでした。得がたい機会に恵まれました。


 最後に、過年度に倣って、今年取り組んだ作品を順不同に列挙してみます。順不同です。

 ステージで指揮した曲から、激励に行ったホール練習で少々コメントしただけの曲まで、各曲に触れた量は様々です。今年は講習会もなかったので、19年度以前に比べて曲数は半分以下です。

  • 僕らのインベンション(宮川彬良)
  • 吹奏楽のための「エール・マーチ」(宮下秀樹)
  • 吹奏楽のための「幻想曲」─ アルノルト・シェーンベルク讃(尾形凛斗)
  • カプレーティとモンテッキ 「ロメオとジュリエット」その愛と死(天野正道)
  • エルサレムの光(広瀬勇人)
  • ルーマニアのクリスマスの歌(B.バルトーク/黒川圭一)
  • フラワー・クラウン(和田直也)
  • 秘儀Ⅱ(西村朗)
  • カルカソンヌの城(広瀬勇人)
  • セドナ(A.ライニキー)
  • ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/森田一浩)
  • トリトン・エムファシス(長生淳)

 また、今年は、状況が整わずにコンクール参加を断念した一般バンド、自治体の方針で外部指導者がNGで訪問が叶わなかった学校があったことも忘れてはなりません。来年度こそは、それらのバンドも含めて、より良い状態で吹奏楽コンクールの時期を迎えられることを祈るばかりです。

 現在、デルタ株の蔓延で、かなり厳しい感染状況となっています。ワクチン接種が進み、社会状況も落ち着いていくことを、そして、日々の吹奏楽活動をより安心した状態で行え、多くの聴衆を前にした様々な演奏機会が再び持てるようになることを、心から願います!

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