私もかつては、トランペットのアンブシュアとバテとに悩む吹奏楽部員でした。
本書(初版)に初めて触れたのは、高校生の頃。図書館で借りて読んだと記憶しています(後に購入しました)。『バンドジャーナル』のバックナンバーで著者の連載にも触れていました。
その名著がこの度「新装・改訂復刻版」として刊行されました。
四半世紀ぶりに本書に触れて感じることは、1931年(昭和6年)生まれである著者の先見的な視座です。根性論的なものが今よりも遥かに幅を利かせていた時代(実体験あり)に、本書を貫いているのは、現代風にいえば「学説とエビデンス」とに徹底的に依拠する科学的なアプローチです。症例が少ないものには、その旨を明記するなど、誠実な姿勢が随所に見えます。
他方で、音楽そのものや奏法に対する深い見識、そして豊かな周辺知識からは、戦前生まれの教養人の佇まいも感じられます。
あとがきには「次の世代のためにこれを書いた」とあります。初版から38年、果たして現状はと思い「管楽器 歯科治療」とGoogle検索した結果を見て、大きな感動に包まれました。本書の内容や本書自体を紹介しているもの、治療法を実践・アップデートしている歯科医院などが次々に見つかるではありませんか! 根本先生の思いは、しっかりと令和にまで届き、そして、多くの管楽器奏者を救ってきていたのです。
なお、初版にあった「唯、思うままに」というエッセイ風の章は、改訂復刻版では構成の都合上(あるいは文体が現代には明け透けすぎて……?)割愛されています(画像にて引用)。「こんな馬鹿につける薬は,もはや,あるまい‼」と痛快に締めくくられる1文を読むと1文を読むと、先ほどの検索結果を見た感動が、またリフレインのように押し寄せるのです。
管楽器奏者はもちろん、スクールバンドの指導者にもぜひ手にとっていただきたい1冊です。

