Twitter上で、スコア上の打楽器の書法(楽器に割り振り)について話題になっていたので、私も見解を述べてみました。それをこちらにも転載しておきます。
多くの打楽器奏者やライブラリアンの方々と話していて、主として話題になるのは、
① ティンパニには原則ほかの楽器をやらせないで
② 同じ楽器(特に基本楽器)が複数のパート譜に分散しないようにして
③ 太鼓系と鍵盤打楽器を同じパート譜に混ぜないで
というようなことです。
特に③に関しては、鍵盤以外の打楽器を最上段に並べるセッティング(音大やプロバンド、海外ではアマチュアでもこれがごく普通)のときに、結局現場でパート譜の組み直しが必要となり、大変な負担を掛けることになります。
一方で、私もスクールバンドの現場は日常の一部ですので「最小限の人数で最大の効果を」という需要も理解はできます(音数が多い=「効果」なのかは措いておくとして)。 私も、編曲や編集をしていて「ゴメンナサイ〜!」と思いながらSus.Cymb.を2パートに分散させてしまうこともあります。
それでも、スネアがPerc.1, 2, 4、バスドラはPerc.2, 3, 5に、Xylo.はPerc.2, 4, 5に出てくる……みたいな行き当たりばったりな楽譜は避けるべきです。
百歩譲って、それが「初演時にはベスト」だったとしても、その状態のまま出版するのは配慮に欠くと言わざるを得ません。
大事なこと。
バンドによって事情は様々に異なります。
出版に際しては(人数を最適化した結果、多少の楽器の重複が生じるとしても)“可能な限りの整理”をするのがあるべき姿でしょう。 その結果、たとえパート譜が1枚増えたとしても、楽器がまとめられているほうが多くのバンドにとっては使いやすいようです。
また、浄書・編集上のテクニックとして、スコア上で複数段になっているものも、可能な場合には1枚にまとめると、現場での調整がしやすくなりますし、休符も数えやすくなるので、打楽器奏者から歓迎されるでしょう。ぜひ選択肢のひとつとして覚えておかれると良いかと思います。
もちろん、例えば「全体で18人で演奏できる編成。打楽器は2名」というような状況では、話は変わってくることは理解しています(楽譜を見ればそれはすぐに分かります)。
それでも、最上部に書いた基本的な原則を考慮した上で、状況に合わせて微調整する形が望ましいだろうと、楽譜編集者の1人として申し述べた次第です。