埼玉ルミナス吹奏楽団第5回定期演奏会プレビュー

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埼玉ルミナス吹奏楽団第5回定期演奏会が来たる2月11日に予定されています。
今回の第1部は、全曲が団のメンバーによる作編曲! その内容を少しだけプレビューしていきたいと思います! 客観的に見ても、どの曲もとてもしっかりとしたクオリティの作編曲です。

レッツ“5”マーチ(上田侑輝)

1曲目(実はその前にも短いオープナーがあるのですが)は、《レッツ“5”マーチ》(上田侑輝)。世にも珍しい「5拍子のマーチ」です!

「5拍子たと、ギクシャクしたマーチになるのでは……」と思われるかもしれませんが、これが意外にもとても自然に聴けるマーチに仕上がっています! 特に、トリオの流れるような旋律は、作曲者のメロディ・メーカーぶりが存分に発揮されています!

カルメン・ラプソディ(G.ビゼー/黒川圭一)

2曲目は拙編《カルメン・ラプソディ》。
金管八重奏用に構成した既出版のスコアを、サイズを少し拡大して中編成吹奏楽に編曲したもの。 各学年10人足らずの中学校、すなわち1年生も全員コンクールに乗るバンドのために書いたものなので、2nd/3rdパートは1年生仕様に書かれています(例えば、3rd Cl.のパートには、レジスターキーを使う音域は出てきません)。 1stパート含め音域も無理なく書いてある一方で、3ヶ月くらいみっちり取り組む前提なので、「練習すれば吹けるけど、初見では大変」な箇所も多くあり、そちらは経験豊かな一般バンドのメンバーも大変そうでした(笑)。

そして、私自身、自作の指揮は(嫌とは言わないけど)あまり好まないので、この曲は団員指揮者が登場します! 誰もが耳にしたことのある、第1部では最も通俗的な作品です そして、今年は、歌劇《カルメン》の初演とビゼーが没した1875年から150年にあたります。

五芒星(川端結)

3曲目は、世界初演となる《五芒星》。
新進気鋭の作曲家として活躍目覚ましい川端結さんさんの最新作です!

世間では、ジャズ方面の印象が強いであろう作曲者ですが、♩=55、深淵な雰囲気のなかに進行する、まったく違った側面を感じさせてくれる作品です。三和音が鳴るのは曲中2箇所4小節のみ、「モーダルインターチェンジやエンハーモニック転調を用いた展開」(by 本人)を見せながら、様々な色彩の和音が、あたかも宇宙空間のグラデーションのように様々に色彩を変化させていきます☆

吹奏楽でこのタイプの作品がそもそもかなり珍しいです。通常の委嘱でこのようなオーダーはなかなかないですから、その点でも、作曲家本人が所属する団体からの委嘱だからこそ生まれた作品ともいえるでしょう。川端結の新たな側面を披露する機会になるかもしれません!

《幻想交響曲》より 第5楽章“”(H.ベルリオーズ/Guillaume Kruger)

第1部の最後は交響曲の第楽章を演奏します。
曲は、ベルリオーズの《幻想交響曲》。 当団団員Guillaume Krugerさん(←筆名)の編曲がまた素晴らしい内容です!

客観的に見ても出版譜に比肩する完成度で、あらゆる音の選択に意図が感じられる見事なスコア。ましてや、当団が《幻想》を演奏するのであれば、このアレンジこそが最も良い響きを生み出すことは間違いありません!

今回の当団は、

  • 低音木管はバリサク1本
  • クラリネットはサックスより少ない
  • ソプラノサックスもない
  • 鍵盤打楽器も揃わない

という、管弦楽曲トランスクリプションを演奏するにはかなり厳しい条件ばかりです。私も、これまでいくつかの難題に向き合ってきましたが、今回のオーダーを受けたならば頭を抱えたことでしょう😱

そんななか、Krugerさんは、

  • 色彩効果が様々に考慮された、単なる“置き換え”にとどまらない、柔軟に再構築されたオーケストレーション
  • 金管ミュートの効果的な活用
  • 響きのバランスを調えるためのオクターブ追加

など、ときに大胆な発想も巧妙に交えながら、オリジナルの空気感を感じられるスコアを完成させてくれましたの。他方で、編曲者の古楽への造詣もスコアから漂ってきます。

また、これだけ大規模ななトランスクリプションでありながら、ミスがほとんどないのも特筆すべきこと!

  • クラシックのトランスクリプションの(主に編曲者の高校時代の)豊富な演奏経験
  • ブラスバンドの経験
  • 古楽への探求
  • 耳の良さ

といった、編曲者の様々な音楽遍歴が、十全に反映されているアレンジともいえるでしょう!

もちろん、曲自体がとても難しく、練習は今なお大変なんですが、演奏者(私含めて)は、編曲初演に際して、このスコアをしっかりと形にする責任があります。ルミナスの皆さん、残り1週間、がんばりましょうね✊🏻

というわけで、Krugerさんの渾身のアレンジにもぜひご注目ください!

そして、編曲家としてますます腕を上げているKrugerさん。今後の活躍にも期待が高まります!

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